つまようじ法について
つまようじ法について
30年にわたる臨床での実践や数多くの研究により、
「つまようじ法」の効果が明らかになっています。
「つまようじ法」とは、つまようじのように歯ブラシの毛先を歯と歯の間に出し入れすることにより、歯間部の歯肉のマッサージと歯垢除去をおこなうブラッシング法です。つまようじ法を行うことにより、歯周病の予防・治療や歯の喪失予防に効果があることが示されています。
つまようじ法のエビデンス
ブラッシングのマッサージ効果
ブラッシングのマッサージ効果を軽い炎症のあるイヌの歯肉を使って調べました。イヌの歯と歯肉の一部を毎日歯磨きし、反対側の歯は歯石をとる器具で徹底的に歯垢・歯石を除去しました。1週間後、ブラッシング側の細胞は歯垢・歯石除去に比べ2倍くらいたくさんの細胞が増殖していました。また、炎症性細胞の数も5週間で半分に減っていました。これらのことから、歯周病には歯垢除去よりもブラッシングによるマッサージが有効であることがわかりました(図1)。また、同じようにイヌの歯肉で実験したところ、ブラッシングのマッサージ効果は約200gの力で10秒から20秒で一番高くなり(図2)、その効果は毛先が当たっているところから0.5ミリまでであることが分かりました(図3)。このマッサージ効果は歯ブラシの毛先があたっているところに限られています。ですから、歯肉を健康に保つためには、歯と歯の間の歯肉を直接刺激することが大切なのです。
歯周病には歯垢除去よりもブラッシングのマッサージが有効
動揺度(歯のぐらつき)の改善
動揺歯を有する歯周病の患者さん20人につまようじ法での術者ブラッシングとブラッシング指導を行いました。そうすると、初診時に横から平均101gの力で押すと動揺し始めていた歯が、2週間後には141g、4週間後には147g、8週間後には157gの力までかけないと動かないくらいにしっかりしてきました。
口臭の改善
対象者の口にストローを入れて口臭の原因とされる揮発性硫黄化合物の濃度を測定。つまようじ法による術者磨きを1人平均7回繰り返し、濃度の変化を調べました。その結果、13人の初診時の濃度は平均で250.2ppb (1ppbは10億分の1) でしたが、治療後は平均59.0ppbと約1/4にダウン。全員が側にいても口臭を感じない100ppb以下のレベルに下がり、中には1,100ppbから60ppb程度にまで激減した例もありました。
歯ブラシ1本で歯周病を改善
「つまようじ法」を行うと、歯肉からの出血は早く治ります。最も進んでいる歯周療法と比較すると、「つまようじ法」実施群は明らかに良くなっています。しかも、1週間でその差が出ています。
※プロービング
先端に目盛りのついたプローブという深針を使って歯周ポケットの深さを調べること。
つまようじ法は、バス法とフロスの併用による方法に比べて、臨床的にも有効であり、短時間で終わります。
症例
つまようじ法によるブラッシング
つまようじ法を動画で確認!
英語字幕有り
術者磨きの実際の映像
つまようじ法による歯肉強化論
つまようじ法に関する外部サイト
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 予防歯科学分野
https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~preventive_dentistry/top.html
歯周病予防・治療における歯ぐきマッサージの有用性
(神奈川歯科大学 山本龍生教授)
http://www.labs.kdu.ac.jp/syakaishika/pdf/massage2.pdf